チョコレートの香味は、発酵・焙炒・コンチング等様々な要因によって引き出されます。その中の一つ、糖によって引き出される香りがあり、前職で務めていたショコラティエも「もっとも香りが引き出されるには糖が必要。68%くらいのカカオの割合のものが一番その香りの個性が感じられ、美味しい」と言われていました。実際にテイスティングをしてみたときに、私もある程度甘味があることで様々な香りを見つけることができると感じていましたし、68%~75%くらいが美味しいと思っていましたが、%の高さは苦さに比例しない、ということを証明するチョコレートが出てきました。
アケッソンズの新商品。マダガスカル アンボリカピキィ農園のクリオロ種だけを使用した100%カカオのタブレットチョコレートです。そう、お砂糖が全く入っていないチョコレートです*1。お砂糖が入っていなかったら、ただ苦いだけなのでは、、、と思いながら口に入れ、ゆっくりと溶かしていくと驚くほどに様々なカカオの香りと味わいが立ち上ってきました。
小さなひとかけらを口に入れたときに、まず最初に感じるのは甘味。(まずその事に驚く。)そしてその次にやってくるのは、ベリー系の酸味。そして波のように次にやってくるのはナッツの油脂感、ロースト香、そしてトップの酸とは違い、グレープフルーツの酸がやってきて、ドライ感とともに、ちょうど溶けて口の中に固形のものがなくなり、余韻が続きました。
「今のはいったいなんだったのか?」と不思議な気持ちになって、もう一度確かめたくなって、もうひとかけら口に入れてしまう。そんな今までになかった「未体験」の美味しさがあります。
絶対砂糖が入っていないと美味しくないって思っていたのに、、、
かなりチョコレートを食べこんでいる方、カカオマニアの方は必・体験です。こちらも日本での発売日が決まりましたらお知らせしたいと思います。
*1 お砂糖は全く入っていませんが極少量の大豆レシチンが含まれています。