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【ショコラトリーモラン】発酵の違いを楽しむ リオエネ63%&グリンゴ70%

一部のチョコレートファンの間で、十分な情報がない中で話題となってしまった、ショコラトリーモランのリオエネ63%と、グリンゴ70%。

すぐにご紹介ができず、申し訳ありません。今日はこちらがどんなチョコレートなのかをご紹介いたします。

このチョコレートは、2種類とも同じカカオ産地 ペルーのエネ河左岸エリアに2010年に設立されたカカオ生産共同組合のカカオを使用しています。違いはというと(パーセンテージは違いますが)、カカオ豆を発酵させているものと、未発酵のカカオのものを使っていることです。

まずこのカカオ産地についてご紹介しますと、ペルーは、3つの地形によって大きく分かれます。海側のコスタ、アンデス山脈を含む山岳地帯(高度の高いエリア)シェラ、そして、アマゾンを含むジャングル地帯、セルバです。

このリオエネのエネは河の名前で、アマゾン(セルバ)のエリアになります。この河の流域にいる8つの村の約250のかカオ農家で形成されるカカオ農業組合がモランが取引しているカカオ農業組合です。Asháninkasと呼ばれる彼らは、ペルーの先住民族で山深い場所に自然と環境を尊重する、昔ながらの暮らしをしています。カカオ栽培によって、良い暮らしができるように、良い取引価格をカカオ農家へと提供し、このエリアの違法なコカの栽培からカカオへの転換をしていうことがこの農業組合の目的です。このエリアは、今だペルーの中では最も治安の悪いエリアの一つですのでこの活動はこのエリアの治安の改善にも長期的に役立っていくことでしょう。

標高400m~500mほどの低いエリアで、粘度と砂の土壌のエリアで平坦なエリアであるため日照条件が良く1日中太陽の光があたりカカオ栽培に適しており、彼らの自然を尊重する暮らしと、カカオ栽培がマッチングしています。

さて、そんな彼らのエリアで収穫されたカカオの味わいはどんなものでしょうか。

リオエネ(写真右)は、繊細でありながら蜂蜜の味わい、カカオ感、そしてフルーティーで花の香りをもたらします。丸みのある味わいです。

そしてグリンゴ70%は、カカオを発酵させずに作られたものです。フランクモランはとくにカカオの歴史の中で、もっとも古い自然の木を有するカカオの保全に積極的です。このエリアのカカオもまた、そうしたペルーのこの地に昔から生えていた古いカカオの木です。そして発酵させないカカオのアイディアは、古代・マヤやアステカの人々が飲物として飲んでいたころのカカオです。当時のカカオはおそらく現在のカカオのようによく発酵したカカオではなかったはずです。よりそのころのカカオの味わいに近いものを再現してみたいというのがアイディアのひとつです。しかしながら、どのカカオでも未発酵で美味しいチョコレートになるとは言えませんので、注意深く、そのカカオそのもののポテンシャルを感じられるものを選びました。それがこのリオエネのカカオでした。

出来上がったチョコレートの味わいは、長く舌の上味わいが残るのが特徴的で、塾した果実、乾燥させた木になる果実系の味わい。終盤にはナッツ感と、木の香りを感じることができます。

しかし、この未発酵で作るということは実はとても大変です。私たち日本人にとって発酵はとても身近な保存方法の1つですね。この発酵をすることで腐敗を防ぐことができるのです。発酵させずカカオを作るというのは普段行うカカオのポストハーベストの作業と違うことをしなければならず、農家のひとにとっても混乱する難しいチャレンジでした。また、次回もうまくいくという保証がありません。そのため、このチョコレートバーは限定版となっているのです。

カカオ産地の人とともに作り上げるチョコレートだからこそできる挑戦でもあり、味わいの探求でもあります。彼のあくなき探求心をぜひ味わってみてくださいね。

バレンタイン時の販売予定は、阪急うめだ本店カカオワールド と、東京はサロンドショコラとなります。

世界を繋ぐ最高の1枚を求めて①-Bean to Bar 言葉のはじまり

Bean to Bar(ビーントゥーバー)という言葉が日本でももてはやされるようになり、大手メーカ―さまのチョコレートの商品名にもこの言葉が使われるようになりました。雑誌等で取り上げられる機会も年々増えていて、チョコレートファン以外の方もどこかでこの言葉を聞いたことがある、、という状況になってきているのかな、、と思います。しかしながらこの言葉が曖昧で含まれる意味合いが大きいことから、結局のところ何なの?といまひとつわからない、、という方も多いのではないかと思います。

そこでBean to Barについて、私が出会ったきっかけなどをお話ししますね。

私が、このBean to Barという言葉に出会ったのは2012年の春のことで、日本に紹介したのもこの頃になりますが、当時はほぼ誰も日本ではこの言葉を使っていませんでした。(ほぼというのは、作っていらっしゃる方もすでにいらっしゃいましたが雑誌媒体などで大きく取り上げられることはなかったという意味です)韓国人のショコラティエと英語でのやり取りをするために使用した言葉がBean to Barでした。彼らは、カカオ豆から小規模でボンボンチョコレートまでを一貫して自分たちの工房で作っていたため他の製菓用チョコレートを使って作られたチョコレートと区別するために、自分たちのチョコレートを特徴づけて、Bean to Barと呼んでいたのです。私が初めて紹介したのは、この韓国のBean to Barで、2012年に日本のチョコレート通販サイトで紹介されました。この言葉自体は世界的にはもっと前からあり、カカオ豆からチョコレートまでを一貫生産し、販売するアメリカ・ブルックリンの「マストブラザーズ」は間違いなく、その火付け役となったと思います。彼らがブルックリンにお店をオープンしたのは、2007年のことです。

 日本でBean to Barに着手している人は本当に少なく、2010年にエミリーズチョコレートさんが着手されていたのを、これもまた韓国のショコラティエから聞き知ることとなりました。

マストブラザーズが人気になった一つ理由は、今までにない斬新でオシャレなパッケージ。焙炒したてのカカオがしっかりと香るチョコレート。彼らは多くの次の世代のチョコレートの作り手を生み出したと思います。彼らのチョコレートを知って初めてニューヨークへ訪問したい!と強く思い訪問したのは2010年でした。(その時のブログ

その後、多くのBean to Barを日本に紹介することになったのが、2014年1月に阪急百貨店のバレンタインイベントの一部として開催されたイベント「タブレットミュージアム」でした。世界中の板チョコレートが集まるイベントのプロデュース役として、このイベントに参画させていただくという大役を仰せつかったのです。

tablet chocolate

tablet chocolate

世界中のチョコレートブランドを見ている中で知り合っていくカカオに特化したチョコレート作りをする人との交流が深まってきたのもこのころで、カカオハンターの小方真弓さんが、カカオの開発だけでなく、自社の工房でチョコレート作りまでを手掛け始めたのが2013年。彼女と知り合ったのもこのころでした。私がニューヨークのBean to Barブームについてテレビロケのロケ地のコーディネートをさせていただいたのも2013年のことになります。そして2014年からは、2012年に開始した世界的なチョコレートのコンクール、インターナショナルチョコレートアワードの審査員となり、世界中のBean to Barをはじめとするチョコレートの審査にも加わらせていただいています。2014年のイベントを準備するにあたり、2013年世界を再びめぐり、考えたことは、

「流行ではなく、文化として醸成するチョコレート文化の為には、繊細な味覚を持つ日本人が受け入れられるような高品質なチョコレートを日本に紹介すること。」

でした。そのセレクトが現在も紹介させていただいている、カカオハンター、アケッソンズや、オリジナルビーンズ、マルゥなどのチョコレートでした。すべてのチョコレートにはその背景に物語があり、また単なる消費する物質としてのチョコレートではなく、これまでの消費スタイルや考え方、生き方までも変えていく可能性を秘めたものだと感じました。私たちが日ごろの生活の中ではイメージもしにくく、情報も少なく、触れ合う機会のない原材料「カカオ」を作る生産者の顔が彼らを通して見えてくるのも本当に嬉しいことでした。前職の時にどれほど渇望してもそこまでの情報を得ることも話すことも、訪問することもできなかったところが、原材料までが、その作り手までがクリアーに見える。出会える。

Bean to Bar。

単純にこの言葉は、カカオ豆から板チョコレートまでを一貫生産するものを指します。その規模についてや、どのようにという製法について、などはこの言葉には含まれていません。

そのため、一部のショコラティエは違う言葉を使いさらに区別しようとしてきました。あまりにもこの言葉が多く出てきて、自分たちのアイデンティティーを表現するには不足に思えたからでしょう。クラフトチョコレート(手工業のチョコレート)、アルティザンチョコレート(職人のチョコレート)、スモールバッチチョコレート(小規模チョコレート)、ポッドトゥーバー(カカオの実を収穫するところから手掛けたチョコレート)、Tree to Bar(カカオの木を育てるところから作ったチョコレート)etc..etc….

そして、時は流れ2016年が終わろうとしている今、日本のBean to Barブランドと呼ばれるカカオ豆からチョコレート作りを手掛けているお店は約50店舗くらい、そして、ここ数か月でも次次と新規ブランドがオープンしていますので現状ではもっと多いかもしれませんね。また、コーヒー自家焙煎ショップがチョコレートも作っている、というような形態で作られているところもあります。

コーヒーショップが町中にあるように。そしてそれぞれのコーヒーショップは潰れることなくそれぞれに繁盛している。そんな風にチョコレートも日常の当たり前のものになっていくといいですね。

私としては定義する言葉はどうでもいいと思っているところがあります。それよりも、どんな思いで作られていて、どんな風に作られて、どんな味か。工房を見せてもらってクリンリネスはどうか確認したり、どういう想いで作っているのか作り手からお話を聞いて思いに共鳴するかどうか、また日本の煩雑な手続きの為の書類を書いたり、メールのやり取りができるかどうか、メールで何度かやり取りをしてみたり、、ということを経て紹介するかどうかを決めています。ひとたび始まれば、長いお付き合い。誰でも作り始めたころは試行錯誤。だんだんに洗練されていく味わいに、何年目かで、さぁ今なら日本に紹介する時が来たのではないか、と思えるチョコレート職人の方もいます。一度お付き合いが始まったら、長く付き合っていく同志になります。仲間であるということはまず自分の仕事のスタイル。自分の仲間の作ったものを預かって、大切な友達(みなさん)に食べてもらいたいものを紹介していこう。そういう想いでいます。

まだまだ伝えきれていないので、もっともっとお伝えしていかねばなりませんね!日々美味しくて、心を揺さぶられるようなチョコレートを求めて、世界中を旅します。そしてみなさんへトモエサヴールを通してチョコレートをご紹介していきますね。

日本に上質なチョコレートを輸入して販売を通して紹介する

チョコレートのティスティング方法やチョコレートの種類、カカオについてをお伝えするようなイベントをする

文章でストーリーを伝える

チョコレート製造ブランド様へのアドバイス(コンサルティング)をする

などなど様々な方法で皆さまと「日本のチョコレート文化」を作り上げていけたらと思います。